84年の生涯
1904 – 1921
死んだ兄の名
1904年、カタルーニャのフィゲラスに生まれる。9か月前に亡くなった兄と同じ「サルバドール」を与えられ、墓の前で生まれ変わりだと言われた。
「自分は本当に存在しているのか」を証明する不安が、のちに現実と幻想を溶かす核になる。6歳で油絵を描き、才能は早くから目立った。
1922 – 1929
マドリードの反逆
18歳で王立アカデミーへ。長髪とマントで歩き、ロルカとブニュエルと深く交わる。1926年、「私を審査できる教授はいない」と試験を拒み退学。
1929年、パリでシュルレアリスムとガラに出会う。絵と人生の両方で、計算された狂気の設計が始まる。
1930s
溶ける時計
《記憶の固執》をはじめ、硬い写実で不可能な夢を固定する。学術的な技法だからこそ、溶けた時計は冗談ではなく幻覚になる。
奇行、講演、映画。ダリは作品の外でも「ダリ」を演じ、視線を独占した。
1940 – 1989
追放と自己演出
政治と商業で仲間から疎まれても、世界の視線は離れなかった。ガラの死のあと孤独は深まり、1989年、84歳でフィゲラスに還る。
本当の代表作はキャンバスではなく、「サルバドール・ダリ」という存在そのものだったのかもしれない。